クラシック初心者さんに聴いて欲しい!③〜ドヴォルザーク/交響曲第8番〜
クラシックのオススメ曲記事がなかなかに好評でしたので、調子に乗って第3弾!
前回のラフマニノフをオススメした時に、
「フルートが大活躍するとは言えない」と記述したので、
今回は正真正銘、フルートが大活躍しすぎる楽曲のご紹介です。
ドヴォルザークの交響曲第8番。
楽章を抜粋しようかと思ったのですが、
本当に1〜4楽章の全てでフルートがずっと大活躍する曲なので、今日はぜひ冒頭からお楽しみ下さい。
アントン・ドヴォルザーク(1841-1904)はチェコの作曲家です。
まだコロナが蔓延するずっと前にチェコへ遊びに行った時に、
物凄く興味本位で現地のガイドさんに「ドヴォルザークってチェコ語でどう発音するんですか?」と尋ねたら、
「ドヴジャッ」と返され、とても衝撃を受けたことを覚えています。
さすがに「ドヴジャッ」と紹介すると誰のことだかわからなくなりそうなのでここではドヴォルザークと記していきますが、
ドヴォルザークといえば、交響曲第9番「新世界」が圧倒的に有名ですね。
「新世界」の2楽章は「家路」というタイトルで日本語の歌詞がつけられ、いろいろな所で耳にします。
そのほか、「ユモレスク」や「スラヴ舞曲」、弦楽四重奏の「アメリカ」など、
一度聞いたらすぐに口ずさめるような、親しみやすいメロディーが特徴の作曲家だと思っています。
さて、交響曲第8番はどんな曲かと言いますと、とても「牧歌的」で「田園の風景」が見えるような楽曲です。
1889年の8~9月頃に大まかな楽曲のスケッチが作られ、同年11月に完成されています。
この頃のドヴォルザークもまた、音楽院から作曲教授のオファーを受けたり、勲章を与えられたりと、ノリに乗っていた時期といえます。
そして、もう本当にフルートが休む暇もないくらいの大活躍!
吹いても吹いてもずっとソロです。こんな楽曲なかなかありません。笑
1楽章は、短調の悲しげな旋律でスタートします。個人的なイメージ的では夜から夜明けといった感じです。
そこへ、爽やかな朝を告げる小鳥の旋律!フルートのどソロです。
ちなみにこの楽曲ですが、このフルートのどソロの最後の方から2nd奏者が一瞬だけピッコロを吹くのも見どころです。
(※映像で言うと、管楽器は真ん中の人が1st(首席)で、フルートはその左の人が2nd奏者です。ちなみにフルートのお隣であるオーボエは右側に2nd奏者さんがいます。楽曲によりますが、2nd奏者は同属楽器の他の楽器へ持ち替えて演奏したりします。)
なんでここだけピッコロで書いたのかは謎です。後の楽章でピッコロを使うことはないので、とても緊張の一瞬です。
交響曲の2楽章は、一般的には「緩徐楽章」と言って、ゆったりしたテンポ・曲調のものである場合がほとんどです。
コンサートなどへ行って眠くなるのは大体このタイミングではないでしょうか(笑)
一般的に、と称したのは、先日紹介したラフマニノフの交響曲2番の2楽章は全然緩徐楽章ではないからです。(ブログで紹介した、3楽章が緩徐楽章にあたります)
時代と共に1楽章はこうでなければならない、2楽章はこうであるべきだ、みたいな概念が崩れていったと言っても差し支えないかと思います。
ドヴォルザークの交響曲第8番第2楽章はゆったり系です。
弦セクションのフワッとした音楽に導かれ、またフルートは小鳥のような旋律を吹きます。
フルートとオーボエによる美しい牧歌的なメロディも聴きどころです。
3楽章。ワルツのような舞曲調の楽曲です。
ここではフルートは、クラリネットと共にヴァイオリンの合いの手をずっと演奏しています。
フルートの低い方の音域をふんだんに使っているので、結構難しくてフルート泣かせな楽章です。
かと思えば、軽やかに旋律を奪っていかなきゃいけなかったりするので大変忙しいです。
最後の方は2拍子に変わり、オーボエが軽やかに締めてくれます。
4楽章。これぞファンファーレ!と言うトランペットで始まります。
「変奏曲」のような形式になっていて、1つのメロディがいろいろな形になって登場します。
チェロが第1変奏を演奏する裏で、2ndファゴットがソロで対旋律を演奏するのも聴きどころです。
オーケストラの管楽器はこんな風に、1stではなく2ndのほうにソロがあることもとても多いので、
そういうところを知った上で曲を聞くとより飽きずに楽しめたりすると思います。
さて、テンポが速くなると1stフルート吹きはソワソワし出します。
なぜならば、この曲最大の見せ場と言ってもいい大ソロがこの後待ち受けているからです!!!
テンポも速くて指も難しいこのソロは、「オーケストラスタディ」にも含まれる鉄板ソロです。
「オーケストラスタディ」、通称「オケスタ」は、オーケストラにレギュラーメンバーとして入っている楽器には必ず存在しているもので、
さまざまなオーケストラの楽曲の中から、この楽器といえばこれでしょ!というソロをかき集めたものです。
そして、プロのオーケストラのオーディションでは、その抜粋部分を1人で演奏しなければなりません。
・・・つまり、演奏技術としてはとっても難しいけれど、
「プロのオーケストラに入るんだったらこのくらい吹けて当然!」というソロのことなのです😱
オケスタについてはまた今度詳しく書くとして、
そんな大ソロが待ち構えている第4楽章!
お客さんも、演奏者もみんな期待しているソロなので、気合を入れて吹かねばなりません。
どんなソロなのかは、ぜひ動画かCDなどでご確認くださいねっ!!
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というわけで本日はドヴォルザークの交響曲第8番をざっくりご紹介しました。
また次回〜!