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クラシック初心者さんに聴いて欲しい！⑤〜ベルリオーズ／幻想交響曲〜

交響曲についてのそもそも知識①＆②を書いているときに、

絶対にこれについても触れなきゃ！と思ったのがこちらの曲です。

 

ベルリオーズの「幻想交響曲」です。

 

この曲は、エクトル・ベルリオーズ（1803年〜1869年）というフランスの作曲家が1830年に書いており、

原題は「ある芸術家の生涯の出来事、五部の幻想的交響曲」となっています。

 

これはベルリオーズ自身の失恋体験が元になっています。

 

売れない芸術家がある女性を好きになり、恋の悩みから絶望に陥ってアヘンを飲んで死のうとするのですが、

薬の量が足りず、長い夢を見ます・・・

夢の中で、彼は愛していた彼女を殺してしまい、死刑を宣告され断頭台へ連れて行かれます。

首を切られた芸術家は、亡霊や魔法使いたちが集う饗宴に遭遇し・・・。

というようなストーリーです。

 

 

もう、ストーリーから激ヤバな匂いしかしません。笑

しかも作曲家本人の体験に基づく・・・😱

 

 

交響曲自体は全５楽章で、各楽章にタイトルが付けられています。

また、全楽章を通じて同じようなメロディーが形を変えてたくさん登場するのですが、これが「彼女の旋律」です。

専門用語を使うと、「イデー・フィクス（固定観念、固定楽想とも）」と言います。

 

 

 

１楽章「夢、情熱」・・・彼が愛する彼女を見て、優しい愛情や熱狂、嫉妬、慰め、などが描かれます。

２楽章「舞踏会」・・・華やかな舞踏会のざわめきの中に、彼女を見つけます。

３楽章「野の風景」・・・夏の夕べ。２人の羊飼いが牧歌を吹き交わしています。（舞台上のイングリッシュホルンと、舞台裏で演奏されるオーボエ！）彼女が再び現れると、芸術家は心が締め付けられ・・・２人で吹き交わしていた牧歌の旋律はやがて１人だけになり、孤独と静寂に包まれます。

４楽章「断頭台への行進」・・・夢の中で彼女を殺して死刑を宣告され、断頭台へ向かう芸術家。彼女のテーマが首を切られる直前に一瞬現れます。

５楽章「魔女の夜宴の夢」・・・あらゆる化け物たちの饗宴。愛する彼女の旋律が再び現れますが、とても醜悪で野蛮な旋律へと変化しています。グレゴリオ聖歌の「怒りの日」と「饗宴」が一緒になり派手に終了します。

 

 

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「彼女の旋律」がストーリーに合わせて色々な形になって現れるのですが、

この使い方がもう本当に鳥肌ものなんです。

 

特に４楽章。派手な行進で断頭台へ向かっている途中、

本当に一瞬だけこの「彼女の旋律」が演奏されて時が止まったようになるシーンがあるのですが、

すぐにバッサリと首を切られてこの「旋律」が中断されるのです。（首が落ちる音まで再現されている徹底ぶり！！）

この動画では４楽章後に拍手が来ていますが、初演時も４楽章がアンコールされたそうです。

 

 

そして５楽章、魔女たちの「ケケケケ！」というような不気味な笑い声が再現されていたり、

「彼女のテーマ」がE♭クラリネットによってけたたましく演奏されるところも鳥肌が立ちます。

 

 

ゾッとしますねえ〜！

 

 

ちなみに私は新卒の後に超ブラック企業に勤めていた過去があるのですが、

通勤中のBGMは必ず４楽章の「断頭台への行進」でした。笑

 

 

個人的に３楽章のイングリッシュホルンとオーボエによる羊飼いの掛け合いも大好きです。

最初は２人で対話のように演奏されているのに、曲の最後になると対話じゃなくなるんですね。これが切ない。

雷を模したティンパニにも鳥肌が立ちます。

 

 

更にゾッとするのがですね、

この曲が作曲されたのが1830年ということ。

 

ベートーヴェンの没年が1827年なんです。（イヤにな(1827)ったよ、人生が。で語呂合わせで覚えてください！）

ベートーヴェンが亡くなってから、たったの３年しか経っていない。

 

なのに、舞台裏で演奏される楽器があったり、編成も大きかったり、何よりもこんなぶっとんだテーマを題材にして作曲がなされているという。

斬新オブ斬新！といえる交響曲でございます。

 

 

ちなみに、作曲家本人が恋をしたのは、シェイクスピアの劇などでヒロインを演じる人気女優さん。

手紙を出したり面会を申し込んだりの猛烈アプローチ。今風に言うと軽いストーカーです。

なんですが、紆余曲折を経て、ベルリオーズはその女優さんと結婚までしています👏笑

 

 

美しくもグロテスクなベルリオーズの幻想交響曲を聴いてみてくださいませ！