クラシック初心者さん、芸術の秋にこそ聴いて欲しい!⑨〜J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番〜
フルートを吹いていると、フルートの曲をたくさん聴いていると思われがちなのですが、実はそうでもありません。
もちろん、楽器を始めた当初から部活にのめり込んでいた中高生時代は、毎日のようにフルートの良い音ばかり聴いていました。
そもそも自分が演奏する楽器の良い音がわかっていないと、どこを目指して良いかわからなくなるからです。
ですが、たくさん色々な音楽に触れ、特にオーケストラの中で演奏するようになると、
特に弦楽器の素晴らしさに取り憑かれてしまうのです。
というわけで本日はチェロの無伴奏曲をご紹介したいと思います。
みなさん絶対にどこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
J.S.バッハ作曲、無伴奏チェロ組曲第1番です。
なぜ弦楽器に取り憑かれてしまうのか。
フルートの古い教本などにも、「弦楽器奏者や声楽家から多いに学ぶべき」ということがほぼ必ず書いてあります。
さまざまな理由がありますが、1つには美しいボウイング(弓使い)でしょう。
ボウイングは、管楽器奏者にとっての「息づかい」と同じことです。
弓の速さは息のスピード、弓を使う量(長さ)は息の量と似ています。
ですが、管楽器をやっているとどうしても「ブレス」に悩まされます。
あとちょっと息が持てば・・・!とか、音楽的にココで本当は息を吸いたくないけど、ココしか吸う場所がない!とか。
ブレスによって音楽的な妥協を余儀なくさせられることは非常に良くあります。
練習することで妥協をしなくて済むケースもあるかと思いますが、誰も息が絶え絶えの苦しそうな演奏なんて聴きたくありません。
そういう意味で、息がどれだけ持つかということを気にしなくて良い弦楽器の演奏は、本当に魅力的に映ります。
フレーズを長く長く感じて演奏することができるからです。
もちろん、弦楽器奏者の方も、ピアノ奏者の方だって、音楽的な「ブレス」はとっているんですよ!!
ブレスを取らないと、これまた聴いている人が苦しくなってしまうからです。音楽に呼吸は必要不可欠。
自然に聴こえる、呼吸をするべき場所だけでする、ということができるのはとても羨ましい。
もう1つの取り憑かれる理由は弦楽器の左手、主にヴィブラートをかけるときの手の動きでしょうか。
この自然なヴィブラートが作り出せる手は一体どうなっているのか、
また、これを管楽器で真似するためにはどうしたら良いのか??
そんなことを考えながら凝視しています(笑)
さて、この有名な無伴奏チェロ組曲は6番まで存在します。
-
- 第1番 ト長調 BWV1007
- 第2番 ニ短調 BWV1008
- 第3番 ハ長調 BWV1009
- 第4番 変ホ長調 BWV1010
- 第5番 ハ短調 BWV1011
- 第6番 ニ長調 BWV1012
※BWVはBach-Werke-Verzeichnusの略で、バッハの作品目録・作品番号を表します。
バッハ本人による番号付けではなく、1950年にシュミーダーという人が独自につけた作品番号です。
無伴奏チェロ組曲の作曲年代については明らかになっていませんが、およそ1717年〜1723年頃ではないかと言われています。
それぞれの組曲は前奏曲(プレリュード)に始まり、アルマンド、クーラント、サラバンド、
メヌエット(第3番と第4番ではブーレ、第5番と第6番ではガヴォット)、ジーグの6曲で構成されています。
長い間単純な練習曲として忘れ去られていましたが、スペインのチェロ奏者パブロ・カザルスが再発見したことにより、
今ではチェロの旧約聖書とも言われるような存在となりました。
本当にチェロのために書かれているのか?など、まだまだ多くの疑問が残っている曲ではありますが、
チェロの魅力を存分に味わえることは間違いありません。
ぜひ全曲通して聴いてみていただきたいです。心がスーーっと洗われると思います。
|
|
ファゴットなど、他の楽器でもこの曲を演奏する人が増えています。聴き比べをしても楽しいかも。
バッハ本人のことについては書きそびれましたのでそれはまた今度😊
芸術の秋シリーズ、ぜひ読んでくださいな♬