演奏配信を始めるにあたって。〜伴奏音源問題④【マイナスワン音源と著作隣接権】〜
演奏配信の話に戻りましょう!今日は著作権のお話を少し。
これまでのお話(①&②&③)では、配信内でフルートアンサンブルをお送りすべく、
多重録音にまで至った経緯を書いてきました。
もちろんこの過程は自分にとって物凄く意味のある作業だったのですが、
聴き手側の気持ちになった時に、
演奏も伴奏もフルートだけだと、さすがに面白くないんじゃないかなという不安がよぎりました。
ピアノ伴奏とか、オーケストラの伴奏とかもあった方が、みんな飽きないのではないかな。。
そこで、まずはピアノ伴奏の音源を増やすことを考えました。
自ら録音ができれば一番簡単なのですが、
1年くらい毎日30分だけでも一生懸命練習して、
ドビュッシーのアラベスクが辛うじて形になるかな・・・?程度の腕前しかありません。
(ドビュッシーのアラベスクは、とても難しいです!念の為!🌀)
つっかえつっかえの伴奏なんて録音しようもんなら、
聞かされてる方もたまったもんじゃありません。笑
ならば!ピアノの上手なお友達に録音をお願いしてしまおう、と。
楽譜を指定し(送り付けること多数)、
曲目やテンポ、繰り返しの有無、予備カウントの有無などを指定・相談して、
スマホのボイスレコーダーで直録りしてもらったものを沢山送っていただきました!
予備カウントは、これまた指パッチンだったり、
ピアノをコツコツと叩いてもらったり、
鍵盤でカウントを弾いてもらったりしました。
もちろん、お友達も録音を編集する知識や機材を持っていないので、全てノーカット一発録り。
多少のミスは、全然良いから!と、1曲あたりのお値段(格安・・・)を決めての有償依頼です。
1年経って変わったことといえば、
私が音を編集する技術を身につけたので、
もらった録音のホワイトノイズ(サーーーーという音)を消したり、
予備カウントをこちらで打ち込みしたり、
リバーブ(響き)を足したり、
録音開始時や停止時に生まれる「ブツッ」という音を消したりできるようになったということです。
ちなみに、今でもこの方法で録音をお願いしています。
本当にありがたい存在です・・・。
私は配信中に演奏する曲のリクエストを募っておりますが、
レパートリーの一覧を制作しており、この中にない曲のリクエストは基本的にお断りしております。
と、言いますのも、
(耳コピできない、というのが本音ですが・・・・笑)
これだけ連日のブログネタにできちゃうくらい、
1曲1曲、レパートリーを増やすことに時間をかけている(かかっている)からです!
たかが1〜2分程度の長さの曲でも、
例えばこのピアノが弾けるお友達に録音をお願いした場合なら、
その子が録音できるようになるまで練習してくれて、更に録音が成功するまで頑張ってくれているわけです。
ピアノが専門のお友達とはいえ、譜読みや練習には絶対に時間がかかります。
打ち込みや多重録音も、沢山の時間をかけて制作されています。
私が作るものは、ものすごく吟味して制作しているわけではないのですが・・・😅
どんなモノでも、作り出すことは物凄く大変!!
その点も伝わったらいいな、と思いながら書いております😊
ちょっと話が逸れました💦
友達にばかり録音をお願いするのも、その子の負担になってしまうので、
もう一つ伴奏音源を増やすためにしたことが「マイナスワン音源」の活用でした。
マイナスワン音源というのは、要するにカラオケ音源のことで、
楽譜の巻末にたまに付属しているCDと言ったら伝わりやすいでしょうか。
大事なことなので先に言います。
楽譜等に付属しているCDを、配信アプリなどで無断で使用することは、アウトです!!!!!
きちんとした手順をふみましょう。
なぜアウトなのかと言いますと、
このようなマイナスワン系の音源には「著作隣接権」というものが存在します。
細かい説明は省きますが(省くんかーい)、
楽譜を制作した出版社さんがこの権利を持っていて、
出版社さんからの許可がもらえない限りは、配信等で使用することができません。
私はこうしたCD付きの楽譜を沢山所持していたので、
全て配信内で利用することができたら、相当な数のレパートリーになるぞ!とワクワクしていたのですが、
残念ながらそう簡単にはいきませんでした😅
マイナスワン音源は、基本的には「自分で楽しむために使う」ことを目的に作られています。
自分の持っているCDが配信で利用できるかどうか、という点については、
楽譜の出版社さん(多くは、裏表紙や一番最後のページに記載があります)のホームページにまずアクセスをしましょう。
私が問い合わせした限りでは、大体下記の②パターンが多かったです。
①配信利用不可、と明記してある
→おそらく昨今はこのようなお問い合わせが増えているのでしょう。
予めホームページに記載してくださっている出版社さんが多いです。
マネタイズ機能(投げ銭制)のあるアプリでは利用不可、とされていたら、配信では利用できません。
収益化がされないアプリでは利用できる可能性があります。
②利用の許可申請が必要
→お問い合わせフォームなどから、簡単に利用の許可が申請できます。
初めて申請を送ったときは私も緊張しましたが、どの出版社さんも丁寧かつ迅速に返信をしてくださいます!
利用の申請には、出版社によって多少異なったりはしますが、
「どのアプリで配信を希望するか(複数の場合は複数)」
「配信時間の目安(月◯時間/週◯時間など)」
「1配信あたりのおおよその聴いている人数」
「配信でどのくらいの収益になるか(月◯◯円、など)」
「配信期間(◯年◯月◯日より1年、など))」←この期間が終了したら再度申請する
「使用したい楽曲(楽譜に含まれている曲全てなら、全て記載)」
などを記入して送信すると、許可がスムーズにいくことが多いと思います。
これらの情報を踏まえて、「利用OKです!」とか「ダメです!」などの返信が来ます。
「使ってもいいけど、◯◯社の音源です、と毎回口頭で言ってね」とか、「コメント欄に出典を必ず書いてね」「楽譜に勝手にアレンジを加えるのはやめてね」「配信はOKだけど、アーカイブには残さないでね」「音源を単体で流さないでね」といった指定がくる出版社もありました。
海外の出版社さんとかだと、「年間◯◯💲で利用OKです」といった内容になることも多かったです。(もちろんメールは英語)
とてもざっくりですが、こんな感じです。
ひと手間かかる作業であるのは事実ですが、
意外と知らない方が多いみたいなので、記事にしてみました。
マイナスワン音源および楽譜を制作した出版社さんへのリスペクトも忘れずに、利用していきたいと思います😊