クラシック初心者さん、芸術の秋にこそ聴いて欲しい!⑦〜木管五重奏曲・ミヨー「ルネ王の暖炉」〜
まずは、たった2分で終わるこちらの動画をご覧いただきたいですっっ!
左から、フルート、オーボエ、ホルン、ファゴット、クラリネット。
こちらは木管五重奏という編成です!
通称「木五(もくご)」という略称もなんだか可愛らしいです。
ホルンは金管楽器に分類されますが、この編成は木管五重奏と呼ばれます。
19世紀頃に確立されたアンサンブルなのですが、
とても柔らかくマイルドなサウンドから、5人で演奏しているとは思えないような重厚な響きが出せたりして、
聴くのも見るのも、個人的には演奏するのも楽しい編成です😊
5人だけでも小さいオーケストラのような感覚がありますが、
ピアノが加わるとより一層「ミニオーケストラ」感が増します。
こちらの動画ではオーボエとクラリネットの位置が入れ替わっていますね。
曲の解説に移りましょう。
まず「ミヨー」という作曲家が聴きなれないのではないかと思います。
ダリウス・ミヨー(1892年〜1974年)はフランスの作曲家。ピアニストや指揮者としても活躍していました。
作曲家としては交響曲を13曲、膨大な量の室内楽作品、歌劇、劇・映画の音楽などジャンルも多岐にわたっています。
曲を聴いていただけるとわかるのですが、なんとも言えない不思議なハーモニーが特徴的です。
バレエやジャズの影響を受けており、「印象派」以降の新しい音楽を模索しています。
音楽でいう「印象派」は、ざっくりとドビュッシーやラヴェルなどですが、
この「印象派」みたいな分類について細かく語り出すと止まらなくなってしまうので割愛します…雰囲気だけ伝われ〜〜😅笑
木管五重奏曲「ルネ王の暖炉」は、この編成の曲では大変メジャーな曲です。
1曲が2分程度と短いので中高生が抜粋してアンサンブルコンテストで演奏したりもします。
また、長さ的にも聴きやすいのでコンサートにも良く登場するレパートリーの1つだと思います。
ルネ王は、15世紀フランスのプロヴァンス地方を治めていた貴族で、「善良王」の異名を持つ人物。
寒さが大変苦手で、冬の間はエクス=アン=プロヴァンス(ミヨーの故郷)の方へ毎日のように出かけて暖をとっていたことから、
人々はその地域を「ルネ王の暖炉」と呼んだ・・・そんなエピソードが元になっています。
短い7つの曲から構成されていて、それぞれにタイトルがつけられています。
- 行列(Cortege) 厳かに歩み行く騎馬の更新曲。
- オーバード(朝の歌/Aubade) 朝の爽やかな牧歌。
- 軽業師(Jongleurs) 吟遊詩人や軽業師たちの軽やかな遊び。
- ラ・マウザングラード(La Maousinglade) ミヨーの家がある地域の名前。
- アルク川の槍試合(Joutes sur l’Arc) 町を流れる川で開催される槍試合の様子。
- ヴァラブル渓谷での狩り(Chasse a Valavre) 近郊での狩りの様子。ピッコロが登場!
- 夜のマドリガル(Madrigal nocturne) 静かな夜想曲。
全て演奏しても15分弱!
わかりやすくシンプルなメロディーと、それを色付ける20世紀独特の新しいハーモニーが楽しめる作品です。
実はこの曲は元々映画音楽でした。
『愛の騎馬行列』という映画なのですが、3つの異なる時代の愛を3人の作曲家が描いており、ミヨーの担当は中世でした。
そこで作曲した音楽を、新たに7つの曲から成る組曲として書き直した、ということです。
冬でも風のない、陽だまりの暖かな散歩道。
それを、暖かなサウンドの木管楽器で奏でる。
ちょっと涼しくなりはじめるこれからの時期にピッタリの作品です。
木管五重奏は楽器を演奏しない人にとってはあまり馴染みのない編成だと思うので、
オススメの名盤 CDたちもご紹介しておきます!
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フルートのエマニュエル・パユや、オーボエのフランソワ・ルルーなど、
世界で活躍するスーパースターたちが集まった最強木管五重奏「レ・ヴァン・フランセ」!
チケットはすぐに完売するので来日情報もこまめにチェックしてくださいませ。2023年3月来日予定です♪
このCDには木管五重奏の定番曲がたくさん入っています。
イベールの木管五重奏曲、それからラヴェルの「クープランの墓」などもオススメしたい。
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こちらは木管五重奏にピアノが加わったスタイル。
演奏はチェコで結成された「アフラートゥス・クインテット」です。
スーパーホルン奏者ラデク・バボラークが演奏する「ティル・オイレンシュピーゲル」・・・半端ないです😭
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木管五重奏による名作アニメ・クインテット〈スタジオ・ジブリ編〉 新品価格 |
ジブリ×木管五重奏も相性抜群!!!
こんなCDもあります。「風の五重奏団」によるジブリ・ソングを集めたCDです!
ジブリの映画では非常によく木管楽器の音色が使われているので、木管五重奏で聴くのは最高に決まっています。笑
というわけでミヨーの「ルネ王の暖炉」、そして簡単ではありますが木管五重奏のご紹介でした!
芸術の秋に聴きたいクラシック第一弾はこちら。(ブラームスの交響曲第3番について)
このシリーズ、まだまだ書けそうだ!明日もお楽しみに😊