クラシック初心者さん、芸術の秋にこそ聴いて欲しい!⑧〜ライネッケ/フルート協奏曲〜
芸術の秋シリーズは3回目の投稿です♪
今日は「協奏曲」という形も簡単に解説したいと思いますので、
まずはこちらの演奏に酔いしれてくださいませ!ライネッケ作曲のフルート協奏曲です。
協奏曲、英語・フランス語・イタリア語では「concerto」、ドイツ語では「Konzerto」と表記し、
それぞれ「コンチェルト」あるいは「コンツェルト」と発音します。
一般的には1人、あるいは複数の人がソリスト(独奏者)となって前に立ち、
オーケストラをバックに演奏する形態のことを指します。
フルート協奏曲ならば、この動画のようにフルートが1人ソリストとなって前に立ちます。
この曲ではオーケストラの中にもフルートが2人いますが、この2人はあくまで伴奏としての役割に徹します。
ヴァイオリン協奏曲ならヴァイオリニストがソロを、
チェロ協奏曲ならチェリストがソロを。
ピアノ協奏曲ならばピアノがデデンとオーケストラの前に設置されるし、
少しマニアックですが、マリンバ協奏曲ならばマリンバ(大きな木琴)が前に来たりします。
その他にも、フルートとハープのための協奏曲など、2人以上がソリストを務める曲などもあります。
カール・ライネッケ(1824年〜1910年)はドイツロマン派の作曲家。
なんと7歳の頃には作曲を既にしていたり、12歳の時にはピアニストとして演奏会も行っている若き天才!
若くして才能を開花させただけではなく、19世紀の音楽家としては珍しく長生きもできたので、
死ぬ直前まで膨大な量の作品を産み出し続けました。
先日紹介したブラームス(1833年〜1897年)はライネッケよりも年下ですが、ライネッケよりも先に亡くなっていますね。
ライネッケはシューマンやリストに音楽を師事し、リストの娘たちにピアノを教えたほどの人物なのですが、
おそらく大半の方があまり聞いたことのない名前なのではないでしょうか。
ワーグナー(1813年〜1883年)やドビュッシー(1862年〜1918年)がほぼ同時期に活躍していたことを鑑みると、
ライネッケの作品は比較的「保守的」、悪く言えば「時代遅れ」。
新しさを求めるというよりは伝統的な響きに倣っているので、時代も音楽も変わっていく中で埋もれてしまったのでしょうか。
フルート吹きからすれば、「こんなに素敵な曲を書いてくれてありがとう!!!😭」とひれ伏したくなる存在なのですが。笑
このフルート協奏曲はもちろんのこと、ピアノとフルートのための「ウンディーネ(水の精)」というソナタも書いてくれていて、
これまためちゃくちゃ素敵な作品なんです。こちらも芸術の秋に是非ともオススメしたい作品です。
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さて、こちらのフルート協奏曲は1908年にシュヴェードラーというフルーティストのために作曲されました。
(翌年にはシェーンベルクが無調音楽を発表しているので、やはりこのコテコテでロマンチックな曲調が時代遅れだったことが伺えます。)
ですが、ロマン派のフルートの作品はあまり多くはないので、やっぱりフルート吹きはみんなこの曲が好きです😆
曲は3つの楽章から成り立っています。
1楽章、ニ長調。
夢の世界へ誘われるかのような、穏やかで優しいメロディの第1主題。
対照的な第2主題は短調になり、情熱的でフルートの動きもやや技巧的になります。
クラリネットをはじめとするオーケストラとの対話も終始美しいです。
2楽章、ロ短調。
葬送行進曲のような厳かな雰囲気で始まります。
さながらフルートでオペラを観させられているような、叙情感溢れる楽章です。
悲しくも、最後には長調へ変わり救われます。
3楽章、ホ短調で始まるホルンの序奏。
終始暗く行くのかと思いきや、溌剌としたテーマが何度も何度も登場する楽しい曲。
所々1楽章を彷彿とさせるメロディが帰ってきたり、コロコロと表情が変わるのも聴きどころです。
そして最後は協奏曲の醍醐味の一つ!ソリストがたっぷりと技巧を見せつけて煌びやかに終わります。
動画を見終わる頃にはぜひソリストに敬意を込めて「ブラボー!」と叫んでくださいね(笑)
※リアルの演奏会では今はまだダメですよ〜〜!!
以上、ライネッケのフルート協奏曲のご紹介でした♬