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クラシック初心者さんに聴いて欲しい!8/3演奏予定曲⑬〜武満徹/ヴォイス(声)〜

前回の記事でチラッと宣伝させていただきましたが、

2024年8月3日(土)綱島にてピアノとフルートの演奏会を開催いたします!

 

ULA×Hayata. Duo Concert vol.2 “Prélude…”
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2024/08/03(土)18:45開場、19:00開演
(20:45頃終演予定)

横浜市港北区民文化センターミズキーホール 音楽ルーム
(東急新横浜線「新綱島」駅直結、東急東横線「綱島駅」徒歩3分)

一般 3,000円、学生 1,500円 

Tigetにてご予約受付中!

 

今回はHayata.くんと私の両方にソロタイムを設けているのですが(昨年はHayata.くんのみでした)、

1曲無伴奏を演奏するなら何をやりたいかなあ、と考えた時に浮かんだのがこちらの曲でした。

武満徹作曲、「ヴォイス(声)」という現代曲です。

まずは聴いてみてください!!!

 

 

 

え、一体何が始まったの!?!?!

と思われる方もいらっしゃることでしょう。

この曲はそのタイトル通り、奏者自身の声と、楽器の音に区別をつけずに作曲がなされているという特徴があります。

 

 

“Qui va la?”(キ・ヴァ・ラ?)-「誰か?」

という問いかけで始まるこの曲。

瀧口修造さんの「手作り諺」から下記の一行がフランス語および英語に訳されたものが曲中でたびたび使用されています。

 

誰か? まずは物を言え、透明よ!

 

歌と楽器の音を同時に出したり、囁いたり、唸ったり、叫んだり、様々な声の表現に加えて、

キイの打撃音、風のような音、尺八のような音、重音奏法(2つ以上の音が同時に鳴っている様に聴こえる)など、

フルート単体での特殊奏法も盛りだくさんです。

奏者と楽器が一体になって初めて完成する曲、と表現したいなと思います。

 

 

武満徹(たけみつ とおる)は、1930年から1996年までを生きた作曲家。

主な作品には、ヴォイスと同じくフルート無伴奏のために書かれた「Air(エア)」「巡り」

アルトフルートとギターのために書かれた「海へ」のほか、

混声合唱曲「小さな空」や、琵琶と尺八とオーケストラのための「ノヴェンバー・ステップス」

そのほか、映画や演劇、テレビ音楽なども手掛けています。

 

 

この「ヴォイス(声)」という曲は、1971年にオーレル・ニコレというフルーティストのために作曲されました。

ニコレは亡くなったのが2016年なのですが、つい最近のことのように感じます。

ベルリンフィルを含め、ありとあらゆる録音を片っ端から聴いておりました。大好きなフルート奏者の1人です。

 

 

 

さて、「現代曲(現代音楽)」というジャンルについても少し触れたいと思います。

西洋のクラシックの流れでいうと、20世紀後半から現在に至るまでの音楽を指します。

 

余談ですが、

「現在に至るまで」・・・って、ジャズやロックなども含まれるの?と思われるかもしれません。

ただ、ポップス系を含めると話がややこしくなってしまうので、あくまで「西洋のクラシックの流れ」としました。

この時代の音楽は、どこまでがクラシックでどこからがポップス、と区分したり定義づけしたりすること自体が非常に難しく、

ざっくり区分できたとして、様々な音楽がジャンルを超えて影響し合っていることは間違いありません。。

 

そんなわけで西洋のクラシックの流れというところに話を戻します。

20世紀以降何が起こったかというと、音楽における「調性(ハーモニー)」が崩されていきます。

バッハやモーツァルト、ベートーヴェンの時代の曲には、”ニ長調”とか”ヘ短調”とか、

軸となるハーモニーについて曲のタイトルにそもそも含まれていたり、

耳の良い人ならば聴くだけで判別が可能だったりします。

更に「拍子」「リズム」といった概念もなくなっていきます。

 

例えば、美しいドミソの和音をグシャーーーッと潰すような「不協和音」が曲中に入れられたり、

メロディで使える音に制限をつけてみよう!と、12個の音(ドからシまで、黒鍵を含めると音は12個!)を均等に用いて作曲する手法が生まれたり、

楽譜から4拍子とか3拍子とかを示すための小節線自体を消してしまったり、

そもそも音楽は聴覚体験だ!という意味で、4分33秒もの間、演奏者が舞台上で何もしない異質な曲が生まれたり(笑)

現代曲にはそんな曲がたくさんあります。

 

言葉を選ばずにわかりやすくいうと、

「歌えるようなメロディーがない!」

「リズムが取れない!」

「耳障りが・・・正直良くない!」

という曲が多いのです😅

(もちろんそうじゃない曲もありますよ!!)

 

個人的には、このわけがわからない現代曲というジャンルが結構好きだったりします。

奏者が、お客さんの呼吸を止めてしまうほどの緊張感を作り出せた時なんかは鳥肌ものです。

聴いている側も演奏の一部にさせられているような感覚になるというか。

練習する側としても、1音ずつあーでもないこーでもないとブツブツ言いながら取り組むのが地味に楽しいです。

 

私自身は口をあけてポカーンと呆気にとられてしまうことの方が多いですが(初めて聴く曲は特に!)、

なんだこの曲・・・全然好きになれない!と顔を歪めながら聴くのも一つの正解だと思っています。

理解する必要なんてないのです。同じ空間と時間を共有することに意味があるのではないでしょうか。

 

 

・・・とても難しいので、8月3日に練習が間に合うかどうかはわかりませんが(笑)

間に合った際は、全力で演奏させていただきます!

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