クラシック初心者さんに聴いて欲しい!8/26演奏曲紹介⑫〜フィリップ・ゴーベール/バラード〜
もう6月も終わりですね🤯コンサートまであと2ヶ月を切ったという現実にも驚いております。
今日は8月26日のプログラムノート第二弾、ゴーベールのバラードについてです。
まずはいつものことながら演奏動画をどうぞ!
大好きなフルーティスト様の演奏です☺️
フィリップ・ゴーベール(1879-1941年)はパリで活躍したフルート奏者・指揮者・作曲家・教育者です。
フルートの作品をたくさん残してくれていて、フルーティストならほぼ毎日目にする作曲家の一人です。
毎日なんて大袈裟じゃないかとお思いかもしれませんが、
このゴーベール大先生はフルート吹き達に「17の日課大練習」というテクニックを磨くための教則本を残してくださっているのです。
毎日毎日飽きることなく、レミファソラソファミレミファソラソファミ・・・とか、ドレミファソラシドレドシラソファミレ・・・と身体に染み込むまで吹き続け上手になっていきます😇(多分)
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↑通称「タファネル&ゴーベル」略して「タファゴベ」
昔は横長の楽譜が主流で譜めくりが困難でしたが、最近は縦長で見やすい版が出ていて非常に良いです。
ゴーベールは1905年にローマ大賞の2等を受賞、1919年にはパリ音楽院のフルート科教授にも就任するなど、輝かしい経歴を持っています。
フルートとピアノのための作品は16曲ほど残されていますが、「ファンタジー」と「ノクターンとアレグロ・スケルツァンド」の2曲に比べると、他の曲の演奏頻度は決して高いとは言えないと感じます。
しかしながら、ラヴェルやドビュッシーを彷彿とさせる色彩豊かな楽曲は大変魅力的で、フルートの良さを再認識できる作品ばかりです。
「バラード」が作曲されたのは1927年8月、海辺にて。
ゴーベールはフルート科の教授の仕事を務めながら、管弦楽団の首席指揮者も務めており多忙な日々を送っていましたが、
8月の作曲なので休暇中に書かれた作品ではないかと言われています。
冒頭はゆったりとした幻想的な曲調で始まり、やがてピアノが水の流れのような音型で旋律を彩ります。
フルートとピアノで短い対話を繰り返したのち一度静かに締めくくられますが、目の覚めるようなピアノで場面が大きく転換します。
後半はフルート側に流れるような動きが増え(難しくなります😇)、幻想的な雰囲気に更に煌びやかさが加わっています。
前半よりも喜びや楽しさ、それに相反する不安や焦りなども感じられる音楽です。
牧歌的なメロディが奏られた後、フルートで分散和音が何度か繰り返され、その響きの中に溶けるようにして曲が完結します。
全体的に何かのストーリーが見えるような、大変美しい曲だと思います。
曲のタイトル「バラード」についてですが、「バラード」と聞くと現代のポップスでいうところの「スローテンポ」かつ「美しい歌詞や旋律を持つ曲」といったイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
「バラード」とは元々は古いヨーロッパにおいての「詩の形式」のことでした。
それらに音楽が付けられたものも同様にバラードと呼ばれ、更には詩を持たない器楽曲に対しても使われるようになっていきました。
器楽の有名なバラードにはショパンが挙げられます。
ショパンのバラードはミツキェヴィッチという詩人の作品を題材にしているという説も聞いたことがあります。
このゴーベールのバラードが特定の詩や物語を題材にしているかは不明ですが、音楽的に「物語」のようなものを感じるのはバラードという曲想も関係があると言えそうです。
なお、ブログを書くにあたって色々文献も読み直したり古い記憶を呼び起こしたり(?)は一応しておりますが、
決して論文ではありませんので信憑性は基本ないものと思っていただけると、私の気が楽です(笑)
それでは、また次回😊